【レースレポート】アイアンマンケアンズ2018 Day3:レース総括

レース当日は4時起床、朝食にバナナ2本とナッツを少々。
4時半にホテルを出発、4:50のシャトルバスに搭乗。まだ暗闇の中を、パームコーヴに向けて移動。

いよいよ決戦の舞台に立てる。

この日を迎えるまで、一人の時もチームの時も、静かにコツコツと練習を重ねてきました。
色んな出来事が、自然と脳裏に浮かびます。

会場にいるだけで何だか満たされた気持ちになり、仲間たちとリラックスしてスタートを待ちました。

コースの特徴はうじのさんのレポートに詳しく紹介してありますので、ここでは別の切り口からレポートをお届けします。

  • 前回出場した「アイアンマン台湾」からどれだけ成長できたか
  • 自身2度目のアイアンマン=ケアンズは何をもたらしたか

そんな前提で読み進めていただけると幸いです。

※レース中の写真が皆無のため、ここからはテキストメインでお楽しみください。

スイム:ノンストップの3.8km

米粒のようなブイ

スイムの列は、なるべく早めのタイム(スイムアップ1時間くらい)のパックに並びました。
(もちろんそんな実力はないです)
スタートの号砲を待ちながら、先に飛び出したプロのパックを目で追いかけます。

浜辺から見ても、折り返し地点のパープルのブイが米粒のように小さい。。
あそこまで泳ぐのか。。とにわかに想像できないほど彼方。

今回は3.8kmの1ラップなので、一度も上陸せずに完泳がマスト。ぶっ続けでの約4kmは、自分史上初めて。
ですが、台湾での経験とOWS練習のおかげで、恐怖心は全く無くスタートを切れました。

視界ゼロスイム

オーストラリアといえば、エメラルドブルーのキレイな海を想像される方も多いはず。
しかしここ、パームコーヴはさにあらず。

パームコーヴの砂浜は、粒が大きくてやや茶色がかっています。
それらが波にかけ混ぜられることで、薄いコーヒー牛乳のような水面に。

その透明度は、水中で伸ばした自分の腕が見えないほど。
ヘッドアップしても、水中でも見えにくい周囲の状況。いきなりのボディコンタクトに驚く場面が何度もありました。

これまで出場した木更津、横浜と汚水(失礼)でのスイムにはあまり抵抗がなかったのが大きいかもしれません。
やはり何事も経験!

左腕を進路に

いざ泳ぎだすも、ブイが全然視界に入ってこない。。
行く先にブイがあると信じて進み、ヘッドアップ6回目くらいでようやく捉えられるくらいでした。
(そのブイも、高波で何度も見失う)

幸い、顔面キックは免れたので「とにかく慌てずにフォームに集中」と頭で唱えつつ進行。
波は高くないので、落ち着いて進めば問題ないはず。

伸ばした左腕をブイに向けて、進路をとりつつ黙々と泳ぎ続けます。
これは、直近のOWS練でようじ先生から教えてもらったやり方でした。

1つ、また1つと着々とブイをかすめていき、いよいよパープルのブイをロックオン。
Uターン後は、追波で少し速かったような気がします。

2度めのパープルブイを通過した時には「こっちでいいのか?」と少し自信をなくし気味になり。。
一旦立ち泳ぎでライバルの進行方向を確認。約100分かけて無事完泳!

パームコーヴはワニとサメが出るそうですが、とりあえず大丈夫でした。
(仮に出たとしたら、まな板の上の鯉となるでしょう。。)

タイムは1:41、台湾から比べてややタイムロス。。これは悔しい!!

Garminでは400m以上も余計に泳いでいる。。
(多分GPS計測誤差だと信じています。笑)

スイムアップした瞬間「マジか〜」とがっかりしながら、バイクでの挽回を決意したのでした。

バイク:ひたすら耐える180km

風光明媚なシーサイドロード

トランジションから出て、T字路を右に曲がったところからバイクコースがスタート。スイムでの遅れを取り戻すべく、気合を入れなおします。

T1から最北のポートダグラスを2ラップして、ケアンズへと南下するルート。
海岸線はアップダウンが続き、変化に富んだコースです。

※T1直後のT字路で間違えて左折直進してしまうと、そのままケアンズに一直線でコースミスとなります。先発の70.3グループが走っているので、つられて追いかけないように注意!!

やや小雨が混じり、アイアンマンとしてかなり涼しいコンディション。
序盤は上げすぎず様子見で、コースと身体の状態を確認しながら黙々と進みます。

プロクラスの衝撃

そのスピードは、まさに弾丸。
ドラフティングペナルティを取られないギリギリの距離で、超高速のプロクラス車列があっという間に自分の脇を通過。
一瞬で視界から消えていきました。。
(この時自分は1ラップ目の終盤くらい)

ここから学べるのは、「ドラフティング抜きでも、パックで走ったほうが速い」ということ。

アイアンマンは自分のペースを淡々と刻むもの、という先入観がありましたが、もし脚の揃ったパックに遭遇した時は、乗っかるのも一つの手です。
前のライバルが同じくらいのペースを刻んでくれれば、ただ付いていくだけで集中力を節約できます。

路面は意外とハード

ケアンズの路面は大半良好なものの、海沿いはところどころ舗装がザラついています。
空気圧パンパンのタイヤでは、バイクが暴れること間違いなしです。

また、車線上に厚さ2cmほどの反射板が幾重にも埋め込まれており、うっかり乗り上げるとパンク、最悪落車を招きかねません。
※命名:赤い地雷

今回も普段から使い慣れている、信頼のチューブレスタイヤ「GAVIA RACE 0」を5.5気圧でセット。
路面状態の良し悪しに関係なく、自分はこのセッティングで決めています。

チューブレスのメリットは、とにかく快適性が高い!
他にも荒れた路面でも跳ねにくい、パンクに強い、転がりが軽いといいことづくめです。

ずっとアームレストに肘を持たれていても、大きな振動がカットされるので痛みは出ませんでした。
体力を温存しながら走るアイアンマンでは、まさにうってつけ。

もう一つの意外メリットは、パンク修理キットをコンパクトにできること。
外から貼るタイプのパッチキットを携帯すれば、インナーチューブを積まずにパンクへと対応可能。タイヤを外す必要もありません。
(CO2ボンベは積んでます)

そもそも全くパンクしないほど屈強なので、リスクへの備えは万全!

前回台湾で3つ目のボトルケージを用意しなかった反省で、今回はサドル後ろに2つ装備。
この辺りは本当に絶景続きで、テンション上がります。
(そして繰り返しのアップダウンでテンションは下がります)

あまり暑くなかったことも手伝って、エイドでのボトルキャッチは最小限で済みました。
20kmごとにあるエイドで(計8回通過)、確か4回くらいに抑えられたと思います。

半分以上向かい風

ラップの復路、そしてT2までの道のりはほぼ全域で向かい風。
ハンドルを取られるほどの突風では無いものの、風速3mがじわじわとペースアップを阻んできます。まじで泣けます。。

小柄で非力な自分のフィジカルでは、パワーに任せて走ることは困難。。
向かい風に対抗する手段は、とにかくエアロフォームで上半身をコンパクトに走ること。

風が弱まった一瞬、そしてわずかな下り坂でスピードを取り戻しながら、余計な脚を使わずに全速前進。
元々パワーがあれば何とでもなる気もしますが。。自分にはこれが限界。

160km過ぎてから徐々にエアロフォームの維持が辛くなってくる。。
ダンシングやベースバーに持ち替えて誤魔化しながら、あとひと押しを振り絞る。
カフェイン入りのジェル「メイタンサイクルチャージ ゴールド」を注入し、集中力をリカバリー!

心拍ゾーン3

180kmものバイク、5時間近くを常時ハアハアする必要は全くありません。

瞬間的なスピードよりも、最初から最後まで一定ペースを守れることのほうが重要。
Garminの腕心拍計から、サイコン「NEOS TRACK GPS」にデータを飛ばしてハートレートをモニターしつつ走行しました。

振り返ると、最大心拍195に対して、130代くらいに収まっていました。
最も、ゾーン3くらいかは感覚である程度把握できるので、自分の身体を信じてペースメイクしました。

シリアスなアスリートにはもはや常識ですが、パワーメーターがあればそちらを使うほうが、ペーシングには間違いなく有効です。
※心拍ベースでは、その日の体調や心理状態でブレが大きい

ですが、自分の感覚が思った以上に正確なのも事実で、数字に縛られずに走るカンどころは養っておいて損はありません。

温存が効いたこともあり、足攣りやハンガーノックとは無縁でT2へと到着!
とにかく耐え続けるバイクパートでした。

ラン:一度も歩かずの42km

T2でバッグを受け取ると、先行していたうじの氏とテントで遭遇。
同じ仲間でありライバル、レース中に話すことでメンタルに余裕が戻りました。

「ここまで来れば、もう完走は目の前」

そう言い聞かせながら、ほぼ同時にランコースへと駆け出します。
台湾で味わった、ランスタート直後の絶望感は全くありませんでした。


(この後あっという間に置いて行かれました。。笑)

やはり腹痛

ランコースは計3周回。
途中リストバンドを3本集めるのも、台湾と全く同じ。
公園内のコースはほぼフラット、気温も低く台湾比較でかなりイージーなコンディションでした。

しかしながら、バイクでかなり補給を抑えたつもりでしたが、やっぱり腹痛を回避することはできず。。まじか。
まずは最初の5キロ、腹痛が引くまでとにかく我慢。

10キロ過ぎてようやく落ち着きだしたので、ジェル1本目を補給。

台湾の時はあまりにも激しい腹痛により、残り7km全歩きという苦い思い出が。
同じ轍を踏むわけには、意地でもいくまい!

そこで考えだしたメソッド、それは「なるべく食べないランニング」。

腹痛の原因は、先の見えない不安+過酷な暑さから、補給を摂り過ぎたことでした。
身体の吸収速度以上に食べても、胃への負担にしかなりません。

幸い今回は、台湾よりも走りやすい状況であり、一定ペースを刻めばそこまで補給は必要ないと判断。
エイドに寄る回数を抑え、食べずに黙々とペースを刻みます。

(全く無意味ですが、バイクのエイドでもぎ取ったジェルを、ランのエイドで返す「借りたものは返す」日本人の精神をアピールしておきました)

オージー応援団

ケアンズのランコースは、前半にレストランのテラス席をかすめるルートが組み込まれています。
そこでの応援ぶりが本当に熱烈!!

観客はビール片手に、すれ違うアスリートを片っ端から激励。
ゼッケンの名前を呼ばれたり、ハイタッチしたりと疲労した身体に活力をもたらしてくれます。
正直めちゃくちゃ嬉しいです。笑

「Good job!!」「Go for it!!」という声援の波、さらに日本語で応援されたことも1度や2度ではありません。
アイアンマンが、国籍を超えた一大イベントであることを感じられる瞬間でした。

歩かない決断

そんな熱烈応援に後押しされ、「遅くてもいいから、意地でも歩かない」と歯を食いしばるランが続きました。
確かに脚は痛いのですが、立ち止まる選択肢はありえない!

途中キッズに渡された、光る首輪。
走るたびに首にペチペチ当たるので正直すごい邪魔でした。笑

後半に腹痛がカムバックしたものの、立ち止まるほどの苦痛ではない。気合で押し切ります。

残り2kmで、最後の力を振り絞りペースアップ!
トイレストップはあったものの、結果的に歩くことはエイド前後以外ほぼなく、レッドカーペットへと凱旋!
また、食べたジェルは3つのみと、この程度の補給でも走りきれるのだという貴重なフィードバックを得られました。

エモーショナルな瞬間

ランの終盤には、色んな感情が押し寄せてきます。
「やっと終われる」という安堵、「もう終わりか〜」という寂しさ、「追いつけなかった」悔しさ、レッドカーペットを踏みしめる「高揚感」、そして「完走」という達成感。

それこそ、アイアンマンでしか味わえない、言葉にならない瞬間。
色んな思いを噛み締めながら、両手を上げてゴール!!

チームメイトとともにレースを走れたことが、とても嬉しい。
ゴール直後に、うじの氏と健闘を讃え合う瞬間、そして初アイアンマンを無事攻略した長井氏の笑顔、本当に最高でした!

あと、ゴール地点のミネストローネが激ウマでした。笑

総括:2時間以上のタイムアップ

※各パートの台湾のタイム→ケアンズのタイムを表記

スイム:1:38:26 → 1:41:32

タイムが全く進歩していないことが残念極まりない。。
ですが今回、休みなしで泳いだにも関わらず、スイムアップ後の身体はかなり余裕がある状態でした。

チーム練習で身につけた「大きく伸びやかに泳ぐ」がここで生きたのではと思います。
また、初めてのウェットスーツ着用で3.8km以上泳ぐ体験。意外にも、肩まわりがパンパンになるほどではありませんでした。

進歩のためには、もっと泳げ!!これしかなさそうです。

バイク:6:20:42 → 6:03:39

TTバイクを導入、かつエイドでいちいち止まらなかったことも手伝って20分の短縮。
劇的に伸びたわけではないものの、ランへの脚を十分に残すことができた意味では成功だったと言えそうです。

結果として、足攣りなくランに移行することができたものの、もう少しプッシュしても良かったような。。
長時間のレースであるほど、ペースアップがランに響くリスクと隣合わせであり、強い意志が必要。
今後はパワーメーターの導入、ペーシングの勘を磨いていくべきだと思いました。

加えて、長時間エアロフォームを維持できる体幹強化も必須事項。ポジションのアップデートを含めて、さらに人車一体の走りを磨きたいですね。

ラン:6:18:41 → 4:28:20

前回の激遅ぶりから、歩かず完走できたことがポイント。約1時間50分の短縮。
今季出場した横トラ、新島でラン強化の兆候はあり、フルマラソンでも成長を実感できました。

結局ケアンズまで、フルマラソンの練習は1度もしませんでした。
ランの練習は毎回10km以内のジョグと、コツコツ6~7kmのブリックランを続けたのみです。
ただし、バイク100km以上走った直後のブリック、かつキロ5分より速いペースで走ることは意識しました。

振り返ると「歩かない」ことにこだわり過ぎる必要もないんじゃ?という気になってきましたが、次は4時間切り、キロ5分15くらいで走り続けられるように実力をつけたい!

総合タイム:14:33:11 → 12:22:46

総合ランキング531位 / エイジランキング21位(25-29)

出発前に目標としていた「12時間半切り」は無事達成。しかし、このタイムではエイジトップ10すら程遠いと分かり愕然。。
自分の実力からして、まだまだ完走がやっとであり、タイムにこだわるレベルにないのは明らかです。

ですが、これからは完走第一のレースはしたくない。
自分で納得の行く結果を出し、正真正銘レースと呼べる体験をしたい。

今回のケアンズによって、次からは完走は当たり前、さらに上を目指したい気持ちが強くなってきました。

次は11時間前半切りを目標に、着実にステップアップしていければと思います。

使用機材

スイム
ゴーグル:SWANS SR-71M FALCON
ウエットスーツ:2XU
キャップ:大会支給品(シルバー:エイジ25-29)
GPSウォッチ:GARMIN FOREATHLETE 935
補給:なし

バイク
バイク:FS TRINITY ADVANCED PRO TT XS (2017 model)
ホイール:GIANT SLR 0 AERO 55mm
タイヤ:GIANT GAVIA RACE 0 25C(5.5気圧)
コンピューター:GIANT NEOS TRACK GPS
ヘルメット:GIANT PURSUIT ASIA
シューズ:SHIMANO SH-R320
サングラス:SWANS STRIX I FZ
補給:Winzoneジェルを中心に1500kcalほど

ラン
シューズ:NIKE EPIC REACT FLYKNIT 27.5cm
インソール:NIKE純正品
レースベルト:横トラで購入
補給:ジェル3つ、350kcalほど

最後に:若者よアイアンマンへ挑め

以下、レースとは直接関係ないですが、2度目の完走を果たして思い至ったあれこれです。

一言で言えば、若い方にこそ、是非アイアンマンに挑戦して欲しいということ。

それは、自分が完走して周りにドヤ顔したいから、楽しかったからという価値の押し付けではなく。
アイアンマンというチャレンジを通じて、一人ひとりに必ず得るものがあるからです。

まずは、アイアンマンは決して並外れたチャレンジではありません。

初めの一歩と、お金さえあれば誰でもレースに出ること自体は可能です。
ですが、何の準備もなしにいきなり完走できるほど、イージーではないのも事実です。
(たまに一発目から完走しちゃう人もいますが。。笑)

完走すると誓ったその日から、生活を変え、トレーニングの時間を捻出し、必要であれば機材をアップデートし、食べ物に気を使い、と何かしらの努力が不可欠になります。

また、いくらフィジカルだけが優れていてもダメです。
宿泊先の確保、移動の手配、会場での行動計画、などなど「スタートラインに立つための儀式」を、主体性をもって乗り越えていくことも忘れてはなりません。
あっという間に時間とお金が消費され、気がつけばレースの日を迎えていることでしょう。

甘くない一面もありますが、正しい努力を重ねれば、どんな人でも必ず完走できる。
トライアスロン=タイムよりも完走を賛美する文化ですが、アイアンマン完走はまさしく一生ものの勲章となります。
アスリートとしてのみならず、間違いなく「人として」大きく成長できます。

さらに言えば、ミドルエイジ以上が多くを占める世界のトライアスロン人口で、20代とは少人数のまさにヒヨッコ同然です。
そして聞いた話では、国内でアイアンマンに挑むのは全競技人口の10%ほどだそう。
こんなキツい競技なのに、若者が少ないのが結構意外です。。

お金も時間も努力も全て必要で、忙しい中わざわざ海外まで出向いて、とんでもなくキツい体験をしてくる意味は何なのか?
おそらく周囲から理解されないことでしょう。笑

ですが、スイム3.8km、バイク180km、ラン42km完走するだけで、必ず何かをつかむことができる。
働き盛りの20代には厳しい局面も多々ありますが、アイアンマンに挑むことで、自分だけのストーリーが紡がれ、新しい道が拓けるはずです。

(あとは、若いエイジグループはライバルが少なくオイシイという側面も見逃せません。笑)

最後に、完走を目指して「自分を高めていく過程」そのものが、すでにアイアンマンの一部であると思います。
アイアンマンというゴールがすでに道であり、懸命に努力することがゴールであると。

20代中心のIron Willという若いチームから、今後もトライアスロンの素晴らしさを発信していきます。
また、若い世代のトライアスロン挑戦を応援できればこれ幸いです。


メダルの中には熱帯魚。

というわけでアイアンマンケアンズ、無事完走!

次はマレーシアから、呼び声が聞こえるのでした。

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